ペグヘッド

バンジョーにはポット部分にバンジョー・ヘッドが装着されているので、普通ヘッドといえばポット部分のバンジョー・ヘッドの事を指します。それと区別してペグのついているネック側のヘッドのことをペグヘッドと言います。けれども、普通にバンジョー・プレイヤーと話していると、両方ともヘッドと言っており、実際のところ、話の流れからどちらを指しているのかを判断しているようです。

バンジョーのペグヘッドには、写真にあるように貝で装飾(インレイ)されているものが多くあります。
写真のものは、上からフライング・イーグル、ハーツ・アンド・フラワー、リースと呼ばれるインレイです。フライングイーグルは、ドン・リーノ、ハーツ・アンド・フラワーはアール・スクラッグス、リースはラルフ・スタンレーというバンジョー奏者がよく使っていたバンジョーのインレイとして有名です。それぞれギブソン社のバンジョーです。

ペグヘッドはネックと一体となっている部分の横に張り出すように木材を貼り付け成型してこの形になっています。この写真の3つはすべてダブルカットと呼ばれる形のものです。他にはフィドルシェイプと呼ばれるものもあります。
木材加工し成型されたペグヘッドは上から化粧板が張られ、それからこのように豪華なインレイが施されます。化粧板にはプラスティックのようなものや木材の薄い板などが用いられているようです。

各バンジョーメーカーはこのペグヘッドのインレイをいろいろと工夫しており、このインレイの美しさがバンジョーを特徴付けているという面もあります。ギブソン社以外のメーカーもこれらギブソン社のインレイを真似たものを作っていたりします。
もちろん独自のインレイを出しているメーカーも多くあります。
ステリング社のスタッグ・ホーン、レッド・フォックス、フェンダー社のアーティスト、ボルドウィン社のスタイルDなどはとても美しいインレイが施されています。リッチ&テイラー社のインレイはユニークなものが多いです。

インレイは同じメーカーであり同じ型番であっても細かったり太かったり大きかったり小さかったりと、並べてみてみると微妙に形の違いが見られます。特に戦前のバンジョーは作る人の個性が表れていて、同じものは2つとしてないようです。
また、インレイの個性からネック製作者がわかるということもあるようです。

インレイで用いられるものは、マザー・オブ・パール(真珠貝)やアバロン(メキシコ貝アワビ)です。マザー・オブパールは光沢のある白色で、アバロンは玉虫色のゴージャスな感じがします。マザー・オブ・パールは年数が経つとやや緑色を帯びてくるような気がします。

一番上の写真の中に見える釣鐘状の貝はロッドカバーと呼ばれるもので、木ネジでペグヘッドに止めてあります。下2つの写真にも装着されていますが、この2つには黒色のプラスティック板のようなものがついています。これを取るとネックのそりを調整するロッドの上端が出てきます。
このロッドをねじることで、ある程度ネックのそりなどの調整ができるようになっています。


写真で金や銀色に写っているのはチューニング・ペグです。一般的にこのチューニング・ペグのことをペグと行っています。このペグにはこのように金色のものと銀色のもの両方があります。メーカーはウェーバリー、シャーラー、グローバー、ゴトーなどいろいろあります。多くのペグが、ギターのような90度折れ曲がってペグヘッドの横から回すノブが出てくるというタイプではなく、直線的にうしろにノブが突き出しています。

バンジョーには曲の途中でペグを回すことで独特の音の動きを作るという奏法があります。Earl ScruggsのEarl's BreakdownやFlinthill Specialなどで聞くことができますが、そのチューナー奏法を簡便にできるように開発されたキース・チューナーという特殊なペグもあります。


ペグについては、それだけで別に詳しく書くことにいたします。
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